darkness
とてつもない緊張と共に入試が終わった。
同じA高を受けた陸と歩いて帰る。
「やっべ〜。俺、落ちたかも。あさ美は?」
陸のマフラーはとても暖かそうで、私はポケットに手を入れながらそれをじっと見つめていた。
『……まあまあかな?わかんないけど、全力は尽くした。』
「すげぇなあ、あさ美は。」
『でも陸には私より内申点もあるんだし…塾も行ってたんでしょう?』
「俺、内申点ないよ。遅刻ばっかしてたから。塾も頑張ってたけど、全然ついていけなかったし。」
自分に呆れた口調で話す陸。
『じゃあなんで無理にA高受けたのよ〜?』
「決まってんだろ。あさ美と一緒がいいからだよ。」
陸は平然とそう言い放ち、スタスタと歩く。
さっきの陸の真っ直ぐな目に、男らしさを感じてドキっとした。