浅蘇芳─asakisuo─
「渡したもの返されても困るって気持ち、分かるけど、美味しいからってせっかく買ったものだから」
確かにそれはそうだけど……。
「森高君、でも……」
ちょっと渋ると、森高君は優しい笑顔を向けてくる。
「んーじゃあそうだなぁ。半分、貰っていい?」
「半分……」
「そ、半分分けてもらえたら嬉しいなぁ~」
柔らかく笑う森高君にお礼で渡したい気持ちだったのに、気を使わなくてもいいのに。
「じゃあ……一緒に食べたい」