地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました



美菜ちゃんとの買い物は楽しくて、時間はあっという間に過ぎた。

気付けば、空は陽が落ちかけていた。

夕日があたりを照らしている。

早く帰らなきゃ、と美菜ちゃんと別れて家路を急ごうとしたその時だった。


「ねーね、これから暇?」


話しかけてくる男の人がいた。

なんだか、軽そうで嫌な雰囲気……。


慧くんとお付き合いを始めたことで、伊達眼鏡をやめてヘアスタイルも変えたら、急に男の人から話しかけられることが多くなった。

特に、こうやって人で賑わう場所を歩いているとしょっちゅうだ。

ナンパ、ってやつなんだろう――けど、私の場合は、単純にそうではない場合もあるから、油断はできない。


「ごめんなさい。今から帰宅するところなので」


私は丁重にかつ速やかに拒否すると、行き交う人に紛れて立ち去ろうとした。
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