地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました


私と慧くんに、特別な出会いはなかった。

私たちは同じクラスメートだった。


でも、慧くんは校内の有名人。

日本人離れした綺麗な顔をしていて、明るくて、かっこよくて、おまけにやさしくて、誰からも慕われる人気者だった。


対して私はただの女子高生。

平凡で、地味で、友達もいない空気のような存在だった。


そんな私たちが繋がるきっかけになったのは、なんの変哲もないある日のことだった。





その日の最後の授業は特別授業。

掃除当番にあたっていた私たちが、最後の片づけを言い渡された。

掃除なんて真面目にしたくない――とみんなは思っているみたい。

他の当番の人たちが、おしゃべりしたりはしゃいだりして、いい加減にやっているなかで、私だけが黙々と掃除を続けていた。


私だって、みんなの気持ちは解かる。

早く帰りたい。

この息苦しい場所から早く逃れて、一人でほっとできる場所に帰りたい。


でもサボる勇気もなければ一緒にはしゃぐ友達もいない。

だから、こうして早く終わるようやっているだけだった。
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