地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました
「どうして来たんだ」
開口一番、慧くんは少し口調を荒げた。
無理もない。事前にメッセージも送らず、いきなり来たのだから。
慧くんがヴァンパイアの花嫁である私と付き合っていることは、慧くんはまだ家族におおやけにしていない。
家族と言えども、ヴァンパイアの花嫁の存在を知れば、どう豹変するか分からないからだ。
私の安全を考えて、慧くんは公表する機会をうかがっていたのだった。
だから、私のこの突然の訪問は危険な行動と言えた。
慧くんに迷惑がかかるって解っていたけれども、それでも来たかったんだ。
「花嫁が純血しかいない場所に来るってどういうことか解かっているか? 食ってくださいって狼の中にウサギが入り込むようなものなんだぞ」
「ごめんね。でも、ずっと、慧くんのことが気掛かりだったから」
「……」
ふうと息を吐くと、慧くんは夕暮れの空を見上げた。
「少しだけなら大丈夫か……」