地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました

突然、物品庫に人が入って来た。

先生かな、と思って振り返ると、思わぬ人物にぎょっとなった。


「一人でそんなに持って大丈夫?」


西海慧くんが、残りの道具を持って入って来た。


「西海くん……! どうしてここに?」


人気者の西海くんと急に二人っきりになって、緊張が隠せなかった。

かっこいい。

背が高い。

オーラがちがう。


一緒の空間で同じ息を吸うなんて、できないよ……!


「あ? どうしてって掃除当番だからだろ。呼び出されていたから、途中参加だけれど」

「そ、そっか、ありがとう手伝ってくれて」


そういえばそうだった。

呼び出しが終わった後も掃除に参加してくれるなんて、さすがみんなに人気の西海くん、やさしいなぁ。


なんて思いつつも、西海くんと二人きりなんて、これ以上心臓がもたない。

早く終わらせて立ち去ろう、と道具を押し込めるための棚の空いているスペースを探す。

ちょうどいい所があったけれども、けっこう高い場所にあった。

私は背伸びして、道具を持ち上げた。


「ちょっと高くないか? 届く?」

「ん、だいじょう……」


ぶ、と言ったところで、爪先がぐらついた。


「きゃ……!」

「あぶね……!」


バランスを崩して、道具を持ったまま倒れる――ところを、西海くんが抱きとめようとして、


ガシャン!


私と西海くんは一緒に床に倒れてしまった。
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