地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました

「ご、ごめんなさい! 大丈夫?」

「てて、ああ大丈夫だよ」


私が悪いのに、西海くんは怒るどころか笑顔を見せてくれた。

ああやっぱり西海くんって、すごくいい人なんだな。

けど、その顔を改めて見つめて、安心は吹き飛ぶ。

綺麗な顔には擦り傷がついていた。


「傷……! ごめんなさい、私のせいで」

「ん? ああ。平気だよこんなのかすり傷。俺ならすぐ治るし」

「でも顔だよ……痕が残ったら……。そうだ、待ってね」


私はポケットを探った。

たしか、あと一枚だけ残っていたような……。


「あった……! これ、絆創膏、貼っておくね」

「いいよ」

「だめだよ、バイキンが入ったら、せっかくの綺麗な顔なのに……!」


必死の私に西海くんは諦めたのか、黙って絆創膏を貼らせてくれた。

貼り終わってほっとした――のも束の間、次の瞬間、私はまた焦ってしまった。

西海くんの頬に、クマちゃんが笑っていたから。

持っていた絆創膏は、クマのイラストがついた可愛いやつだった。

ど、どうしよう……! これじゃあ逆に大迷惑だ。

かっこいい西海くんが、クマちゃんを頬に付けているなんて……!
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