地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました

「あ、あのやっぱりはがしても……」


しどろもどろになりながら言おうとした――その時、ドキっとなって言葉を失った。


西海くんが、じっと私の顔を見ていたから。


その顔は、いつも笑顔のそれとはちがって、真剣そのもので。

まるで私の心の中まで見透かそうとするくらいの強いまなざしを向けられて、ドキドキと鼓動が早まる。


形が良くて綺麗な二重をしている目のラインは長いまつ毛に覆われていて、茶色がかった瞳と相まると日本人離れ――というか人間離れしているようにすら思える。

西海くんって、いつも明るくて、笑っていて――

太陽みたい。

って、遠目で見ては思っていた。

温かくて眩しいその光のような雰囲気と笑顔は、周りにいる人たちまでをも明るく見せる。

いつも教室の隅に隠れるようにいる私には、けして届かない存在。


そう思っていた西海くんのこんな顔を見たのは――もしかしたら、私が初めてじゃないだろうか。

そんな気すら覚えながら、吸い込まれるように私も彼を見つめてしまう。


ぞくぞく。


と身体の中が落ち着かなくなる。

不思議。

なんだろう、この感覚。

緊張とはちがう、なにか、身体の中が疼くような感覚――。
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