血を飲んだら、即花嫁だなんて聞いてませんが?
第一話 残念、時間切れ──と言われましても
昼休み。
「いいですか、明日の十八時までに『パートナー』を決めなければ、あなたは退学ですよ!」
「……はい」
ビシッと、真っ赤なネイルをした人差し指を突きつけられて、私は下を向くことしか出来なかった。
後頭部できっちり一つに纏められた髪の毛は、後れ毛一つない。
彼女は、私の担任教師である百合先生。
「まったく今年の一年生は、まだパートナーが決まっていない生徒が三人もいるなんて。……私は授業の準備がありますので、失礼します。いいですか辻村さん、明日の十八時までですよ」
そう言い残し、生徒相談室を出て行く百合先生。私は、背もたれにつけないように伸ばしていた背中を丸めて、はぁと息をはく。
「明日までになんて、絶対に無理……どうしよう!」
私、辻村風花が、なぜ頭を抱えているのか。
それは、私が『稀血の持ち主』だからだ。
この春入学した、朱華学園。
ここは『普通の学校』じゃない。
稀血と呼ばれる特別な血を持つ人間と、その血を吸う吸血鬼が通う全寮制の学園。
中高一貫校で、私は高校から編入してきた。
この学園はパートナー制度がある。
稀血の人間に対し、一人以上の吸血鬼をパートナーとして選ばなければならない……んだけど。
入学して一ヶ月が経っても、まだパートナーが決まっていない私。
そりゃもう、先生達からは問題児だと思われている。
私にだって、パートナーを選べない理由があるのに……!
「入学して早々、退学になりそうなんて……とてもじゃないけど、お母さんとお父さんには言えないよ……!」
そもそも、好きでこの学園に入学した訳じゃないのだ。
「いいですか、明日の十八時までに『パートナー』を決めなければ、あなたは退学ですよ!」
「……はい」
ビシッと、真っ赤なネイルをした人差し指を突きつけられて、私は下を向くことしか出来なかった。
後頭部できっちり一つに纏められた髪の毛は、後れ毛一つない。
彼女は、私の担任教師である百合先生。
「まったく今年の一年生は、まだパートナーが決まっていない生徒が三人もいるなんて。……私は授業の準備がありますので、失礼します。いいですか辻村さん、明日の十八時までですよ」
そう言い残し、生徒相談室を出て行く百合先生。私は、背もたれにつけないように伸ばしていた背中を丸めて、はぁと息をはく。
「明日までになんて、絶対に無理……どうしよう!」
私、辻村風花が、なぜ頭を抱えているのか。
それは、私が『稀血の持ち主』だからだ。
この春入学した、朱華学園。
ここは『普通の学校』じゃない。
稀血と呼ばれる特別な血を持つ人間と、その血を吸う吸血鬼が通う全寮制の学園。
中高一貫校で、私は高校から編入してきた。
この学園はパートナー制度がある。
稀血の人間に対し、一人以上の吸血鬼をパートナーとして選ばなければならない……んだけど。
入学して一ヶ月が経っても、まだパートナーが決まっていない私。
そりゃもう、先生達からは問題児だと思われている。
私にだって、パートナーを選べない理由があるのに……!
「入学して早々、退学になりそうなんて……とてもじゃないけど、お母さんとお父さんには言えないよ……!」
そもそも、好きでこの学園に入学した訳じゃないのだ。
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