血を飲んだら、即花嫁だなんて聞いてませんが?
◆◆◆◆◆


「あの子が、郁人くんのパートナー? なにあの分厚いレンズの眼鏡! 私のほうが絶対可愛いのに!」

「一匹狼な恭也くんがっ!いやぁ!」


 学園長室を出て、寮に帰ろうと中庭を通っていると大勢の生徒達に囲まれた。

 もう、二人とパートナーになった事が知れ渡っているの? うそでしょう!?


 どう言い訳すれば……!
 と考えていると、八雲くんが突然私の眼鏡を外した。


「あ、ちょっと!」


 私の顔を見て、集まっていた生徒達は途端に静かになった。
 かと思えば、ワッと沸く。


「なにあの美人っ!?」

「わざわざ眼鏡で隠してたの? 策士すぎないかしら!」


 そんな意図は微塵もなかったんです!
 信じてください! と声を大きくして言っても、きっとみんなには届かないだろう。

 元々、目立ちたくなくて容姿を隠すために眼鏡をしていたのだ。
 そう思われても、仕方がないのかもしれない。


「やっぱり、風花ちゃんは眼鏡がない方が良いよ」


 八雲くんはそう言うと、周りに見せつけるように私の頬へ、ちゅっとキスをした。
 きゃあ! と、さっきの比ではないくらいの悲鳴が主に女子生徒たちから上がった。


「ななっ、なにするんですか!」

「ふふっ。風花ちゃんは、僕のモノって周りに見せつけなきゃ」


 いい笑顔で笑う八雲くん。
 恥ずかしくて震えていれば、後ろから顎に手をかけられ、ぐいっと上を向かされた。

 太陽の眩しさに目を細めれば、顔に影が差し眩しさが軽減される。
 と言っても、雪のように白い髪とその容姿は、ある意味太陽よりも眩しいが。


「郁人ばかり、ズルいんじゃないか?」


 身長差があるからから、真上から見下ろしてきた真白くんは、私のおでこにキスをおとす。

 またもや、きゃあ! と悲鳴が聞こえた。


 ……退学はしたくない。
 でも、私は目立ちたくもない。


「三年間……いや、ずっと隣で守ってあげるね?」

「他の吸血鬼には、指一本触れさせないと誓おう」


 どんなに綺麗な顔で言われても。


「あのー。ちょっとそれ……お断りできますか?」


 と言わずにはいられなかった。


 二人をパートナーにしたのは、私にとって良い判断だったのか。
 それは、未来の私にしかわからない事だ。


 ……どうか良い判断だったって、笑っててほしいのですが未来の自分!!


            ──完──
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