青春の坂道で
 5時の音楽を聴きながら軽めの夕食を済ませる。 一息ついたらバイトに出掛ける。
一階では夕食の準備が始まっている。 今夜は焼き魚と吸い物だって言ってたな。
 それにこの時間から風呂も沸いている。 部活をやっていない高校生たちが先を争って入っている。
俺はというと開いていた小説を読みながら時間を潰している。 6時には出掛けるからね。
 その頃、綾子はゼミを終えて買い物の最中だった。 仕送りも有るからってバイトは土日だけ。
「うーーんと、、、。 今夜はカレーを作ろうかな。」 弁当で済ませることも多いんだけどたまには料理をしたくなるらしい。
「雄二さんはどうなのかなあ?」 そんなことを呟きながらレジへ行く。
 スーパーを出ると鼻歌交じりに寮へ、、、。
部屋に入ると小さな冷蔵庫に食材を放り込んでまずは床に体を投げ出す。
涼しくなってきた風が頬を撫でていく。 ぼんやりしているともう6時だ。

 今夜も先輩の店は大賑わい。 さっきから注文が飛び回っている。
不思議と嫌な客が居ないんだよなあ。 先輩のあの性格も有るのかな?
 ここのバイトは俺も含めて3人。 注文を受けるたびに奥に入っていって先輩から料理を受け取ってくる。
おじさんたちの中には「兄ちゃんも飲め。」と言ってグラスを勧めてくれる人も居る。 最初は躊躇したけど先輩に「断らないで飲め。」と言われてからはなるべく飲むようにしている。
 10時を過ぎるとあのお姉さんがやってきた。 「こんばんは。」
「いらっしゃい!」 先輩の大きな声が聞こえた。 「今夜もたっぷり食べて行ってね。」
「こないだは寝ちゃってすいません。」 「いいよ。 誰も襲わないから。」
「え? 誰も?」 「何だよ? 山崎?」
「先輩が一番襲いたそうな顔してたけど、、、。」 「そうなんですか?」
 「こらこら、余計なことを言うな。」 「うーーん、襲われたいかも。」
「ええええええええ? 何で吸って?」 「いいから食事を運べ。」
「はいはい、、、王様。」 「ったく、、、。」
 それにしても今夜もまたまた飲んじまったなあ。 毎晩こんなんでいいのか?
12時半に店を閉めると俺たちは2階へ上がる。 そしてまた麻雀に励むのである。
 取ったの取られたのって言いながら飲んではまたパイを並べる。 女っ気まったく無し。
何回か勝負をして飽きちまったらみんなで雑魚寝する。 あっちこっちで鼾が聞こえる。
 目が覚めれば朝だ。 そしたら下宿へ帰るんだ。
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