じれ恋
そして2015年3月某日。
今日はお嬢の高校の卒業式だ。
卒業式には親父と俺が保護者として出席することになった。
犬飼や他の何人かは自分たちも行きたいと駄々をこねていたが、スーツの男が何人もぞろぞろと出席するのはかなり異様な光景になる。
友達や他の保護者、教師からの目もあるし、そんなことでお嬢にとって一生の思い出になる大事な日を台無しにするのは言語道断だ。
俺は部屋の鏡の前でこの日のために新調したスーツに袖を通した。
オーダーメイドだから自分の体にピッタリとフィットする。
この18年間、こうしてスーツを着てお嬢の世話係をしてきたが、組が解散するということはその役目も終わることを意味する。
俺が留学を終えて戻ってくる頃にはお嬢も20歳を超えていて、俺たちを阻むものはもう何もなくなる。
それは願い続けていたことだが、名残惜しさもある。俺はこの世話係としての関係も好きだった。
「五十嵐愛華」
「はい!」
お嬢の凛とした声が卒業式会場に響く。
クラス代表として名前を呼ばれたお嬢は壇上へ上がり、卒業証書を受け取った。
長いようで短かった、あっという間の18年間。何もかもを昨日のことのように思い出せる。
光矢さん、結衣さん。
見てますか?
2人の宝物は、こんなに成長しましたよ———。
今日はお嬢の高校の卒業式だ。
卒業式には親父と俺が保護者として出席することになった。
犬飼や他の何人かは自分たちも行きたいと駄々をこねていたが、スーツの男が何人もぞろぞろと出席するのはかなり異様な光景になる。
友達や他の保護者、教師からの目もあるし、そんなことでお嬢にとって一生の思い出になる大事な日を台無しにするのは言語道断だ。
俺は部屋の鏡の前でこの日のために新調したスーツに袖を通した。
オーダーメイドだから自分の体にピッタリとフィットする。
この18年間、こうしてスーツを着てお嬢の世話係をしてきたが、組が解散するということはその役目も終わることを意味する。
俺が留学を終えて戻ってくる頃にはお嬢も20歳を超えていて、俺たちを阻むものはもう何もなくなる。
それは願い続けていたことだが、名残惜しさもある。俺はこの世話係としての関係も好きだった。
「五十嵐愛華」
「はい!」
お嬢の凛とした声が卒業式会場に響く。
クラス代表として名前を呼ばれたお嬢は壇上へ上がり、卒業証書を受け取った。
長いようで短かった、あっという間の18年間。何もかもを昨日のことのように思い出せる。
光矢さん、結衣さん。
見てますか?
2人の宝物は、こんなに成長しましたよ———。