じれ恋
Side 愛華


卒業式の後は先生、保護者と一緒に立食の謝恩会が開かれた。


美味しそうな料理がテーブルにたくさん並んでいたけれど、ほとんど食べていない。


私たち生徒は食べるよりも写真を撮ったり、卒業アルバムを書き合ったり、話したりするのに大忙しだった。


解散する頃には外はすっかり暗くなっていた。


紺炉に全く連絡をしていないことに気づいた私は、慌ててスマホを取り出した。


『今から学校出るね!』


『了解です。駅まで迎えに行きますね』


私が最寄駅に着くと改札の向こうに紺炉が立っているのが見えた。


相変わらず時間はぴったりだ。
 

「家に帰ったらね、紺炉にしてほしいことがあるの……」


明るい大通りを家に向かって歩きながら、紺炉に話を切り出した。


私は今日この日がくるのを待ち望んでいたのだ。


もう1秒だって待ちたくない。


家に帰って、私たちはベッドの上で向かい合った。
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