じれ恋
2012年 夏
あの日は、学校帰りに友達と寄り道をした後、新宿の東口に向かっていた時だった。
「助けてください!」と知らない男性に手を引かれ、路地裏に連れて行かれた。
スーツを着た男の人が座り込んでいたので、「大丈夫ですか?」と声をかけると、急に後ろから口と鼻を塞がれ、私は意識を手放した。
目が覚めると、シミで汚れた天井が目に入る。
どうやら私は両腕を万歳の状態で手首と足首を結束バンドで縛られ、口にはテープが貼られているようだった。
体の下には、体育の授業とかで使いそうな汚れたマットが敷かれている。
窓から見えた景色と、部屋の中の様子から、ここが廃ビルの一室であることは分かった。
他に何か情報がないか転がりながら探っているとギィィと音を立てて扉が開く。
「お姫様がお目覚めだ」
そう言って薄ら笑いを浮かべた主犯格の男はかなりヤバそうなやつだった。
体格のいい部下らしき人物も2人入ってくる。
「可哀想になぁ。恨むならお前んとこの紺炉を恨めよ?」
男はナイフを取り出し、私の制服を胸元から裾まで切り裂いた。
キャミソールを捲られ、お腹の辺りを刃先でなぞられる。
くすぐったさに身をよじりそうになったけれど、下手に動けば皮膚が切られかねない。
私は金縛りにあったつもりで固まった。
「ごめんなぁ。怖いよなぁ。でも大丈夫。ちゃあーんと紺炉を呼んでやるから」
主犯格が合図すると、後ろにいた1人がネクタイを緩めながら私に近づいて来る。
男が外したネクタイで目隠しをされた時点で、もうこの後何をされるかは察しがついた。
「アイツ、大切なお姫様がこんなことになってるなんて、どんな顔するんだろうなァ?」
そこからは悪夢の始まりだった——。
あの日は、学校帰りに友達と寄り道をした後、新宿の東口に向かっていた時だった。
「助けてください!」と知らない男性に手を引かれ、路地裏に連れて行かれた。
スーツを着た男の人が座り込んでいたので、「大丈夫ですか?」と声をかけると、急に後ろから口と鼻を塞がれ、私は意識を手放した。
目が覚めると、シミで汚れた天井が目に入る。
どうやら私は両腕を万歳の状態で手首と足首を結束バンドで縛られ、口にはテープが貼られているようだった。
体の下には、体育の授業とかで使いそうな汚れたマットが敷かれている。
窓から見えた景色と、部屋の中の様子から、ここが廃ビルの一室であることは分かった。
他に何か情報がないか転がりながら探っているとギィィと音を立てて扉が開く。
「お姫様がお目覚めだ」
そう言って薄ら笑いを浮かべた主犯格の男はかなりヤバそうなやつだった。
体格のいい部下らしき人物も2人入ってくる。
「可哀想になぁ。恨むならお前んとこの紺炉を恨めよ?」
男はナイフを取り出し、私の制服を胸元から裾まで切り裂いた。
キャミソールを捲られ、お腹の辺りを刃先でなぞられる。
くすぐったさに身をよじりそうになったけれど、下手に動けば皮膚が切られかねない。
私は金縛りにあったつもりで固まった。
「ごめんなぁ。怖いよなぁ。でも大丈夫。ちゃあーんと紺炉を呼んでやるから」
主犯格が合図すると、後ろにいた1人がネクタイを緩めながら私に近づいて来る。
男が外したネクタイで目隠しをされた時点で、もうこの後何をされるかは察しがついた。
「アイツ、大切なお姫様がこんなことになってるなんて、どんな顔するんだろうなァ?」
そこからは悪夢の始まりだった——。