じれ恋
2014年 春 現在
Side 紺炉


今日は何かと昔のことを思い出した1日だった。


そのせいか、もう23時を過ぎているというのに、頭が冴えて一向に眠れそうにない。


庭でしばらく夜風にでも当たるか?


それとも近くのコンビニまで行くか?


とりあえず俺は着替えるために、着ていたシャツを脱いでクローゼットを開ける。


その時、鏡に自分の姿が映った。


俺は脇腹にある斜めの傷痕をなぞる。


これはあの時負った傷だ。


傷自体はもう痛くも痒くもない。


でもお嬢にはこれよりも深い傷を負わせてしまった。


見えない、厄介な傷を——。
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