じれ恋
ビルの3階にたどり着くと、フロアは壁がぶち抜かれただだっ広い部屋だった。
「おっ!きたきた!」
おそらく俺に電話をしてきた男がニヤニヤとこちらを見ている。
お嬢は手足を縛られ、目と口を覆われた状態で床に寝かされていた。
制服のシャツははだけ、下着が露わになっている。
「ヒーローのお出ましだぜ」
また別の男がお嬢の手首に巻かれた紐を持ち上げお嬢を引き起こした。
「っっ!」
全体重がかかった紐が手首に食い込みお嬢は顔を歪ませる。
「お嬢、ほんの少しだけ待っててください」
「ほんの少しだってよ。もう待ちくたびれたよなァ?」
男に耳元で囁かれたお嬢は顔を背けた。
とりあえず意識はありそうでひとまず安心した。
男は膝立ち状態のお嬢の太腿を撫で上げ、こちらを見てくる。
完全に俺を挑発していた。
「てめェら、生きて帰れると思うなよ」
俺はジャケットを脱ぎ捨て、上半身の可動性を確保しながら宣戦布告した。
「そりゃあこっちのセリフだが、威勢の良さは認めてやる」
やれという合図で、十数人が向かってきた。
正直、お嬢を人質にとられている以上あまり派手にはやり合えない。
10人近く片付けたところで、早くも息が上がってきた。
俺ももう若くなかった。
昔はこんな状況が日常茶飯事だったが、さすがに体力の衰えを感じずにはいられない。
「プッ」
俺は口の中に溜まった血を吐き出した。
まだ厄介そうなのが残ってるが、避け切れずに負った脇腹の傷が思いの外深そうで動きが鈍ってきた。
かなりまずい。
しかし、このピンチな局面に僅かな希望の光が差し込んだ。
窓の外からかすかにパトカーのサイレンが聞こえてきたのだ。
次第に大きくなってくる音に、お相手さんもざわめきだす。
「このままだとまずいっすよ」
「まあそれなりに痛ぶれただろ。引き上げるぞ」
急に手を離されたお嬢は床に崩れるが、無事解放された。
一人残らず追いかけたいところだったが、まずはお嬢の手当てが先だ。
「おっ!きたきた!」
おそらく俺に電話をしてきた男がニヤニヤとこちらを見ている。
お嬢は手足を縛られ、目と口を覆われた状態で床に寝かされていた。
制服のシャツははだけ、下着が露わになっている。
「ヒーローのお出ましだぜ」
また別の男がお嬢の手首に巻かれた紐を持ち上げお嬢を引き起こした。
「っっ!」
全体重がかかった紐が手首に食い込みお嬢は顔を歪ませる。
「お嬢、ほんの少しだけ待っててください」
「ほんの少しだってよ。もう待ちくたびれたよなァ?」
男に耳元で囁かれたお嬢は顔を背けた。
とりあえず意識はありそうでひとまず安心した。
男は膝立ち状態のお嬢の太腿を撫で上げ、こちらを見てくる。
完全に俺を挑発していた。
「てめェら、生きて帰れると思うなよ」
俺はジャケットを脱ぎ捨て、上半身の可動性を確保しながら宣戦布告した。
「そりゃあこっちのセリフだが、威勢の良さは認めてやる」
やれという合図で、十数人が向かってきた。
正直、お嬢を人質にとられている以上あまり派手にはやり合えない。
10人近く片付けたところで、早くも息が上がってきた。
俺ももう若くなかった。
昔はこんな状況が日常茶飯事だったが、さすがに体力の衰えを感じずにはいられない。
「プッ」
俺は口の中に溜まった血を吐き出した。
まだ厄介そうなのが残ってるが、避け切れずに負った脇腹の傷が思いの外深そうで動きが鈍ってきた。
かなりまずい。
しかし、このピンチな局面に僅かな希望の光が差し込んだ。
窓の外からかすかにパトカーのサイレンが聞こえてきたのだ。
次第に大きくなってくる音に、お相手さんもざわめきだす。
「このままだとまずいっすよ」
「まあそれなりに痛ぶれただろ。引き上げるぞ」
急に手を離されたお嬢は床に崩れるが、無事解放された。
一人残らず追いかけたいところだったが、まずはお嬢の手当てが先だ。