じれ恋
お嬢をそっとベッドにおろし、額から順にキスの雨を降らせる。


涙で濡れた頬はほんの少ししょっぱかった。


唇まで辿り着くと、最初は触れるだけ。


何回か重ねたあと、啄むように柔らかさを確かめ合った。


そこからはバスローブを少し緩め、手を滑らせながら全身に唇を這わせた。


「っんぁっ……」


お嬢の小さい口から漏れ出る艶やかな声と、シーツの擦れる音。


この甘美な雰囲気に目が眩みそうになる。


臍のあたりまで来たところで、規則正しい寝息が聞こえてくる。


顔を上げると、お嬢は気を失うように目を閉じて眠っていた。


きっと張りつめていた緊張の糸が切れたのだろう。


起こさないようにそーっとバスローブを結び直し、ブランケットをかける。


大丈夫。お嬢は綺麗だ。


汚れてなんかいない。
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