じれ恋
「もしもし——」


俺は、どうしてもこの手でアイツらを始末したくて、お嬢が眠っている間に事を終わらせようと、相模さんに連絡を取った。


しかしそんなことはあっさり見抜かれ、却下される。
 

『安心しろ。アイツらには死んだ方がマシな生き地獄を用意する』


組長の側近が言うなら任せよう。


五十嵐組の姫に手を出したのだ。


当然の報いだ。


普段感情をあまり面に出さない相模さんだが、その声には怒りが滲み出ていた。


お嬢を大切に思っているのは俺だけじゃない。みんな気持ちは同じなのだ。

 
電話を切ってから、俺は相模さんからの言葉を反芻した。


『お前の役割は何だ?』
 

俺はお嬢の世話係だ。


もう2度と、同じ失敗は繰り返さない———。


俺はあの時、そう決めたのだった。
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