じれ恋
そばにいたのが紺炉という年上の男性だったから、同級生の男子や先輩でさえもとてもお子ちゃまに見えた。


だから、何度か告白されたことはあったけど断っていたし、高校は女子校に進学したからますます男子と関わることなんてなくなった。


これまで私にそういう浮いた話は一切ない。


初めて手を繋いだのも、初めて抱きしめられたのも、初めてキスをしたのも、初めて裸を見せたのも、全部紺炉だった。


こんなにも私の〝ハジメテ〟を奪っておいて、自分に夢中にさせるだけさせておいて。


それなのにこの男は、手のひらを返し私を突き放して、今私を怒らせている。
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