じれ恋



遠藤と別れた後俺は小走りで家に帰った。


多分お嬢は拗ねているだろうし、怒っていてもおかしくない。


ちゃんと説明はしておこうと家の中に入るとちょうどお嬢が廊下を歩いていた。


「あ、紺炉お帰り〜お風呂沸いてるよ」


あまりに普通の反応で拍子抜けしてしまった。


一抹の寂しさはあるが、怒ってなくてまずは一安心。


「あのさっきのことなんですけど……」


「別にいいよ言わなくて!私も紺炉に話してないことあるし。お互い様!ね?」


一体何があった?


いつものお嬢はどうした?


そもそも俺に話してないことって何だよそれ!?


これ以上話す用はないと言った風にお嬢は部屋へ戻ってしまった。


どうやって機嫌を直そうかあれこれ考えていたのに、逆にこの状況が不気味で、その日俺はあまりよく眠れなかった。
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