じれ恋



結局、紺炉が回復した後に今度は私が風邪を引いた。


紺炉の部屋で寝てしまったあの日、途中で様子を見にきてくれたらしい相模は「ブランケットをかけていなかったからだ」と言っていたけれど、風邪を移された原因は明らかだった。


「絶対紺炉のせいだよ……ゴホッゴホッ」


「責任とって今度は俺が看病しますよ」


全く反省してなさそうな紺炉は、むしろどこか嬉しそうに私の前髪をすいた。


これは後から聞いた話だけど、あの時相模から向けられた「何かしたのか」と疑うような視線が痛かったと紺炉が言っていた。


まさかキスしたなんて言えないけど、相模なら気づいていてもおかしくはない……。
< 73 / 120 >

この作品をシェア

pagetop