環くんは、フォーク化現象に悩まされている


やっぱり、二人で住んでいるんだ。


想像以上だった。

真実を知ってしまった時の、心のダメージが。


心臓がナイフめった刺しにされているような、顔がゆがむほどの激痛に襲われ。

耐えられなくて。

でも、苦しんでいることを誰にもバレたくなくて。

涙腺が緩みそうになる顔を、二本の三つ編みで隠す。



「なんか……ごめん……」


シュンと肩を落とし、弱り声を震わせたのは環くん。


今のごめんは、何に対する謝罪なんだろう?


私の心の中は、取り払えないモヤモヤが増すばかり。

カウンターの中は、気まずい空気がたまっていく。

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