環くんは、フォーク化現象に悩まされている
「私、お父さんの小説が大好きだよ。私の部屋を見ればわかるでしょ?」
「行き過ぎている気はするが……父親としても作家としても嬉しい限りだよ」
「早く新作を読みたい読者が目の前にいるんだから。頑張って小説を書いてね、お父さん」
「我が娘は、顔も性格も天使だなぁ……」
「泣かないでってば」
いくら車の中だからって、登校中の生徒たちに変な目で見られちゃう。
「送ってくれてありがとう。行ってきます」
「千夜湖、文化祭楽しんでおいで」
「うん」
カメラが入ったバックを肩にかけ、車から降りた私。
駐車場の敷地を出てすぐにある、学園の門をくぐる。