環くんは、フォーク化現象に悩まされている

いつもより速足で園庭を進んでしまうのは、色とりどりの装飾で華やぐ文化祭特有の空間になじめないからではなくて。


「うちのクラスのお化け屋敷、お客さん来るかなぁ?」


「来てくれた生徒の数なんて気にしなくてよくない? うちらが楽しければそれでいいじゃん」


「夕夏の能天気なとこ、大好き」


「しっかりディス、混ざってたけど。 アハハ~」


団結力と仲良し度がアップした生徒たちを見ると、羨ましく感じちゃうからでもなくて。


――会いたくないなぁ……環くんに。


彼とクラスが違うこともあり、早く自分の教室に逃げ込んじゃえと思っているから。



でも教室に入ったら入ったで、居心地の悪さに心がズキズキ。

アウェー感が半端ない。

教室から出たくなっちゃう。

全部私のせいなんだけど……

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