環くんは、フォーク化現象に悩まされている


その時は、文化祭のクラスの出し物を決めてる最中で。

みんなが自分の席に座っている中

市護(いちご)千夜湖(ちよこ)って、この中にいるよな? 前に出てこい』

オラオラ生徒会長に、ご指名されてしまった私。


ひぃえぇぇぇ……

目立つのが苦手なのに。

クラスメイトとも必要最低限の会話しかしたことがない、コミュ症なのに。


みんなの前に出るの? 

罰ゲーム、それとも公開処刑?

ほんと勘弁してください……


透明人間になりたいと心から願ったのは、この時が初めてで。

クラス中の視線が、私に突き刺さるこの状況。

――市護さんはこの子ですよ。

生徒会長にクラスメイト全員が、私の居場所を教えているようなもので。


『オマエが市護(いちご)か!』


ズカズカと私の前まで歩いてきた生徒会長は、いきなり私の手首をギュッ。

握力全開で握って、私を椅子から立たせると、問答無用で引っ張った。

< 68 / 159 >

この作品をシェア

pagetop