環くんは、フォーク化現象に悩まされている
その時は、文化祭のクラスの出し物を決めてる最中で。
みんなが自分の席に座っている中
『市護千夜湖って、この中にいるよな? 前に出てこい』
オラオラ生徒会長に、ご指名されてしまった私。
ひぃえぇぇぇ……
目立つのが苦手なのに。
クラスメイトとも必要最低限の会話しかしたことがない、コミュ症なのに。
みんなの前に出るの?
罰ゲーム、それとも公開処刑?
ほんと勘弁してください……
透明人間になりたいと心から願ったのは、この時が初めてで。
クラス中の視線が、私に突き刺さるこの状況。
――市護さんはこの子ですよ。
生徒会長にクラスメイト全員が、私の居場所を教えているようなもので。
『オマエが市護か!』
ズカズカと私の前まで歩いてきた生徒会長は、いきなり私の手首をギュッ。
握力全開で握って、私を椅子から立たせると、問答無用で引っ張った。