環くんは、フォーク化現象に悩まされている


市護(いちご)さん、おはよ」


教室に入って来たクラスの女子に、急に挨拶をされた。


「……つ、おはよぅ」


うつむきながら、相手に聞こえるか聞こえないかの声を震わせた私。

これはクラスメイトにとってもいつものことで。

私の返事なんか待たずに、別の子に話しかけに行っちゃった。


いてもいなくても、どっちでもいい生徒。

このクラスでの私は、地縛霊みたいな立ち位置で凹む。


みんなから、いじめられているわけじゃない。

私が目を合わせないから、みんなも距離を詰めようとしないだけ。

悪意なんて全く感じない。

みんな良い人だし。


それに、ぼっちは気楽だ。

人と関わらなければ、相手に気を遣うこともない。

相手を傷つけることもない。
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