【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
セナとユフィーリア、エトヴィンをそれぞれ見る。彼らは鋭い眼差しで、「応援している」という意思を伝えて来た。大丈夫。この人たちがいてくれるならきっと、何も心配することはないだろう。そっと神木を見上げながら、精霊たちに念を送る。
(レイモンド・アーネルの体内にある余分な魔力核を、私の身体の中へ)
『はーい! 了解だよぅ!』
子どものような声が頭の中に響く。しかしその声は、オリアーナにしか聞こえていない。淡い光がレイモンドを包み込み、彼の胸の奥にすっと入り込んでいく。そして間もなく、レイモンドから取り出された光がオリアーナの体の中に入った。
『できたよ〜!』
精霊たちはオリアーナの体の中をすり抜けて神木へ戻って行った。胸の奥に、これまで感じたことのない熱を感じる。その刹那、オリアーナの瞳が金色に光った。それを見てユフィーリアが声を上げる。
「オリアーナさん! ――聖女の宣誓を!」
前回の洗礼の儀は失敗してしまったが、今なら成功するかもしれないとユフィーリアは踏んだようだ。