【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


 《――天の精霊たちよ。地に眠る偉大な始祖の御霊よ。我を聖女として認め、その証を示せ》


 すると、オリアーナの右の手首に聖女を示す金色の五芒星の紋章が浮き出た。洗礼の儀とは、この聖女の証を発現させること。オリアーナはこれでようやく、次期聖女として正式に認められたということになる。しかし今はそんなことよりレイモンドの方が重要だ。
 オリアーナは振り返り、エトヴィンに確認した。彼は、魔力核を目視する能力がある。

「魔力核は無事に移動した。成功だ」
「…………!」
「レイモンド。体の具合はどうだ?」
「まだ……よく分かりません。ただ、胸の圧迫感が少し和らいだ気がします」
「そうか。これから少しずつよくなっていくからな。安心しろ」
「ありがとうございます」

 安堵したような表情を浮かべたレイモンドを見たら、つんと鼻の奥が痛くなった。ひとまず、レイモンドの体を苦しめる根本原因は解決したようだ。あとは、彼の自然治癒力に任せるのみ。

「姉さん。魔法は? 魔法は使えるようになりましたか……?」
 
 移植が成功したなら、オリアーナは魔法石に頼らずに自分の魔力で魔法を使えるはず。胸に引っ提げていた魔法石のペンダントを外して、セナに預ける。そして、唱えた。
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