【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
屋敷には、セナとレイモンドの三人で帰った。すると玄関先で両親が待ち伏せしていて、オリアーナの姿を見るやいなや眉間に皺を寄せた。
「この出来損ないがっ!」
「――っ」
セナがいる前で、父親に打たれるオリアーナ。眠っているレイモンドを背負っているセナは、娘に手を上げる公爵を見て絶句している。オリアーナは今までに一度も、家族から暴力を振るわれていることを彼に言ったことがなかったから。
両親が怒っている理由はよく分かっている。
「レイモンドを勝手に連れ出して、申し訳ございません」
「ごめんで済んだら警察は要らないのよ。あんた何考えてるの!? 病気の弟を連れ出して、具合が悪くなってどうにかなったらどう責任取る気!?」
母が声を張り上げ、オリアーナの髪を鷲掴みにする。その光景に、後ろに控えている使用人たちはドン引きしている。
魔力核の移植については、両親にひと言も言っていない。もし打ち明けたら、オリアーナのことなど端から信用していない彼らは頭ごなしに否定していただろう。
「レイモンドなら無事です。疲れて眠っているのであまり声を上げないでいただけますか」
「生意気な口を利くんじゃない! あんた、私たちに迷惑ばかりかけて、家を追い出されたいの?」
「……申し訳ありません」