【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


 オリアーナはセナの方をちらりと見て、レイモンドを部屋に連れて行くように促した。すると、両親の叱責する声にレイモンドが目を覚ましセナの背から降りた。レイモンドは両親の前まで歩いて、冷たく言い放った。

「姉さんは出来損ないではありませんよ」
「え……?」

 レイモンドはオリアーナの袖を捲り、手首に浮かんだ聖女の紋章を見せつけた。両親は五芒星の痣を見て、言葉を失った。今まで散々出来損ないだと小馬鹿にしていた娘が、聖女に選ばれたから。

 聖女は、始祖五家や王家とも別格の存在。教会のトップとして、信仰される唯一無二の地位だ。両親は顔を見合せオリアーナに駆け寄った。

「そんなはずは……」
「だってこの子は、魔法が使えない生まれ損ないで……。オリアーナ! その手を出しなさい!」

「痛っ……」

 母はオリアーナの手を取り上げ、腕の紋章を無理やり擦って確認した。それが本物だと分かると、彼らは満面の喜色を湛えて。
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