【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


「誰? 好きな奴」
「……言わないよ」
「俺に言えないような相手なの?」
「そうじゃないけど」
「なら教えられるだろ」

 珍しくムキになっている彼に戸惑う。いつもはこんな風に他人の事情に深く踏み込んでくるようなタイプではないし、嫌だと言ったことはしてこないのに。

(ああもう……その目、ずるい)

 彼の藍色の瞳の奥が微かに揺れる。こんなタイミングで打ち明けるつもりなんてなかったのに、この人の前では自分の気持ちを偽ることができない。

「セナだって……言ったら?」

 震える声でそう言い、彼の体を手で押し離せば、彼は目を見開いた。
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