【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


「レイモンドさん! あなた、なぜそれを!? なぜ『呼び笛』を出せるのです!?」
「呼び笛……? なんですか、それは……」

 全く見当もつかずにいると、彼女はゆっくりと息を吐いた。そして、懐から透明な小瓶を取り出して蓋を開いた。先程粉砕されたオリアーナの杖が、物理法則に逆らって吸い取られるように瓶の中に収まっていく。彼女は瓶に蓋をしてこちらに言った。

「これは私が預かります。あなたはしばらく、杖の現出を固く禁じます」
「……! どうして――」
「いいですね? これは命令です」
「は、はい。分かりました」

 一体何が起きたのか訳が分からない。魔法と離れた場所で生きてきたオリアーナは、魔法で起こる事象に疎いのだ。

 ふと、セナの方に視線をやると、いつも澄ました顔をしている彼が、悲しそうな表情でこちらを見ていた。

(セナ……?)
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