【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
「痛っ。やめて……!」
ガタイのいい少年に石を投げつけられ、頭を腕で庇うように抱きながらうずくまった。
涙目になりながらやめてと懇願すれば、意地悪な子どもたちは一層面白がって、蹴ったり殴ったりを繰り返した。
魔法を使えば、彼らを一掃することができる。このころ、すでに大人顔負けの実力があったセナ。しかし、魔法を一般人に使ってはいけないと教えられているので、いじめを奥歯を噛み締めて耐え忍ぶしかできなかった。魔法は使えても、体格も筋力も人より劣るせいで、対抗できないのが悔しかった。
(どうしよう……リア、レイモンド、どこ行ったんだ……?)
少年のひとりに髪を引っ張られ、小さく悲鳴を漏らす。縋るような思いで双子のことを思い浮かべたとき――。
「――セナからその手を離せ」
颯爽と現れたオリアーナは、少年の頬を殴り飛ばした。身軽な子どもは、吹き飛んで地面に倒れる。彼女はセナを庇い立ち、こちらを見下ろしながら「遅くなってごめんね」と囁いた。
「お前、そいつの仲間か? よくもやってくれやがったなぁ! ただじゃおかねぇ。お前ら、袋叩きにしちまえ!」
「一人を相手に複数で襲いかかるなんて、卑怯な奴らだね。いいよ、全員相手にしてあげる」
多勢に無勢。相手はオリアーナよりも体格がいい年上の子どもたち。どう考えても不利な状況だが、彼女は涼しい顔をして彼らを圧倒した。
身軽な動きで攻撃をかわし、拳や足で打撃を与え、次々に子どもたちを屈服させていく。