【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
「レイモンドの不調の原因は魔力増幅で……それはあいつにとって後ろめたいこと――か」
「どうして隠したんだろう。レイモンドだって、誰より病気をよくしたいと思ってるはずなのに」
「ひとまず、魔法医学の専門家に相談してみよう。うちの学校にはいるだろ? 魔力核のスペシャリストが」
「……エトヴィン先生――か」
オリアーナは頷き返した。
◇◇◇
「――で。そこにいるのはレイモンドじゃなく双子の姉のオリアーナの方で、レイモンドには魔力増幅の症状が見られるから診断してほしい、と」
「はい。その通りです」
翌日。朝早くにオリアーナは、化学準備室に押しかけて頭を下げた。オリアーナがレイモンドの代わりに入学することになった経緯を、包み隠さず全て打ち明ける。不正を咎められて退学することになり、両親から責められてももう構わない。
エトヴィンは呆れたようにため息をついた。
「失望したぞ。それでもアーネル公爵家の人間か? 国から下賜された家宝を使い、不正を働いているとは……。この件が露見したら、始祖五家と王家全体の名誉に関わる」
「返す言葉もございません。私が独断で行ったことですのでどうか、弟のことは咎めないでください。――罰なら私だけが受けます」
「ふん、人に物を頼める立場だと思うな」
「……はい」
失望をあらわにするエトヴィンに平謝りする。
「だが、お前の弟のことは俺が責任を持って視てやる」
「……本当ですか!?」
「嘘なんかつかねぇよ。これはただの推測だが、レイモンドは二人分の魔力核が体内で形成ているんだと思う。聖女が持つべき、膨大な魔力を」
「……母胎の中で結合したということですか?」
「魔力核に限らず、こういう障害は稀にある。だから、本人はお前には言いずらかったんじゃねぇか?」
「…………!」