【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
彼の推測に、全ての点と点が結びつくような気がした。ただでさえ冷遇されているオリアーナが、理不尽に両親から責められないように。またオリアーナが負い目を感じないように気遣ってのことなのだろう。
(私……最低な姉さんだ。何も知らずにレイモンドのことを責めたりして……)
昨日の自分の振る舞いを思い出して、表情を曇らせる。そんなオリアーナを見て、エトヴィンは面倒臭そうに言う。
「んな辛気臭ぇ顔すんな。こっちまで憂鬱になんだろ。まだ決まった訳じゃない。とりあえず中間テストが終わったら、すぐに時間を作る」
「はい。よろしくお願いいたします」
藁をも掴む思いでエトヴィンに頭を下げたのだった。
◇◇◇
しかし、エトヴィンは替え玉の件を上に報告しなかった。始祖五家と王家の名誉に関わる重要事項。
もしかしたら、問題に巻き込まれるのが面倒で沈黙したのかもしれないし、オリアーナの境遇への同情があったのかもしれない。結果として彼は『聞かなかったことにする』という選択を取った訳だが、その真意は分からなかった。