【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
(まぁまぁまぁ……! オリアーナ様をお好きになるなんて、見る目のあるお嬢さんだこと。ええ、素敵でしょう。オリアーナ様は世界一素敵なお方なのです。分かりますわ……!)
ジュリエットは手紙を受け取ることを拒んだ。興奮しているのを隠してあくまで平静を装い、優しく目を細める。
「いいえ。それはあなたが直接お渡しなさい。伝えたい思いは、誰かに頼むのではなく、自分で届けるものですわ」
「で、でも……。レイモンド様は、みんなに慕われていらっしゃるし……。私みたいなフツーの人が好きだと言っても、迷惑なんじゃ……」
彼女の言葉に首を横に振る。
「レイモンド様は、そういうお方ではありませんわ。あなただってそれを分かっているから彼を好きになったのでしょう? あなたが好きになった人を信じなさい」
「……!」
彼女は瞠目し、そのあとで力強く頷いた。一生懸命考えてきたであろう手紙を胸に当てて、「はい」と笑った。女子生徒はおもむろに、ジュリエットに尋ねた。
「ジュリエット様は、いつもレイモンド様といらっしゃいますが、あのお方と……付き合っているんですか?」
「いいえ。彼とは友人ですわ」
「そう……ですか。でも、ジュリエット様も彼のことが、お好き……ですか?」
「…………」
ジュリエットはただ穏やかに笑みを湛え、頷き返した。
「ええ。――大好きですわ」