【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
レイモンドはそっと、胸の辺りに手を当てた。
「最近、自分でも感じるんです。自分のものではない強く神聖な魔力が……内側で膨らんでいくような感覚を」
「……魔力の異常増幅ってやつか?」
「はい。発作のような感じで、一度症状が出ると動けなくなるほどで」
「それ、結構やばいんじゃないか?」
――魔力の増幅は、著しい速さで進んでいき、レイモンドの肉体が抱えていられる許容量を超え、床に伏すように。
そのうちに、オリアーナに次期聖女の資質が目覚めた。レイモンドの身に起きていた現象の理由はそこで分かった。
母胎の中で、オリアーナの魔力核とレイモンドの魔力核が結合し、レイモンドの体内で形成されたのだ――と。自分は大好きな姉が本来持つはずだった能力を全て奪ってしまったのだと……。