【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
セナが尋ねる。
「それはもう過去となりつつあります。近ごろ、ますます聖女の力は衰え、精霊の姿さえ霞むようになりました。まして、コミュニケーションを取ることはもう随分と前からできていないのです」
「…………」
ユフィーリアはそう言って表情に失意を滲ませた。聖女の力が衰えているというのは、周知の事実。彼女の切々とした様子を見るに、余程深刻な具合なのだろう。しかし、力が低下するということは、新たな聖女との代替わりの時期が来た証でもある。
数拍置いて、オリアーナはそっと唇を開いた。
「私がやります。私が精霊に依頼して、魔力核の移植を行います。――次期聖女として」
オリアーナに聖女の力が目覚めていることを知るのは、極小数のみ。知らないはずのユフィーリアだが、オリアーナの申し出に特に驚くようなことはなく、むしろ全て見透かしていたかのように穏やかな微笑みのまま玲瓏と言った。
「そうですか……。新たな聖女の誕生を喜ばしく思います。私たち神殿側も全力でサポートいたしましょう。聖女としての――初仕事ですね。弟さんをきっと救って差し上げなさい」
「……はい」