婚約者の心の声を知りたいと流れ星に願ったら叶ってしまった
翠玉の瞳を開くと、聞き覚えのある声が頭の中で響いた。
《私の婚約者は相変わらず美しい。祈る姿は聖女のようだ……ここに画家を呼びたいな》
低めの落ち着いた声音は、エリオルの声と酷似していた。
勢いよく横を振り向いたが、婚約者の口は引き結ばれたままだった。聞き間違いかと首を傾げると、再び声が聞こえてきた。
《急に振り返ってどうしたのだろう。見たところ、異常は何もないようだが……。それにしても本当にここまで星が降る夜も珍しい。これほど素敵な夜をレティシアとともに過ごせるなんて感無量だ。今夜の思い出を私は生涯忘れることはないだろう》
神様、大変です。本当に願い事が叶ってしまったようです。
◆◇◆
婚約者の心の声が聞こえる、という不思議体験は一日だけではなかった。
彼と会うたびに、レティシアは婚約者の意外な胸中を知っては驚く日々を過ごしていた。何度か検証したところ、どうやら一定の範囲内にいれば声が届くらしい。
《私の婚約者は相変わらず美しい。祈る姿は聖女のようだ……ここに画家を呼びたいな》
低めの落ち着いた声音は、エリオルの声と酷似していた。
勢いよく横を振り向いたが、婚約者の口は引き結ばれたままだった。聞き間違いかと首を傾げると、再び声が聞こえてきた。
《急に振り返ってどうしたのだろう。見たところ、異常は何もないようだが……。それにしても本当にここまで星が降る夜も珍しい。これほど素敵な夜をレティシアとともに過ごせるなんて感無量だ。今夜の思い出を私は生涯忘れることはないだろう》
神様、大変です。本当に願い事が叶ってしまったようです。
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婚約者の心の声が聞こえる、という不思議体験は一日だけではなかった。
彼と会うたびに、レティシアは婚約者の意外な胸中を知っては驚く日々を過ごしていた。何度か検証したところ、どうやら一定の範囲内にいれば声が届くらしい。