ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約
走っているのもかわいい……って思っていたら、彼女は私達の間に割り込んできた。
その拍子に、本当にさりげなくだけど、ドンッと肩をぶつけられた。
バランスを崩した私はよろめいてしまったけど、なんとか転ばずに済んだ。
でも、ぶつけられた腕がものすごく痛い。
今のって、わざとだよね?
ぶつかる時、ものすごい力が入ってた感じだったし。
でも、それを直接本人に聞くのは、余計なトラブルを招きそうだから下手に出とこう。
「あのっ、姫宮さん。さっき、私とぶつかったみたいだけど、大丈夫?」
じんじん痛む肩をさすりながら、姫宮さんに話しかけてみたけれど。
当の本人は、最初から私なんていなかったかのように、何の反応もしてくれないどころか、御影くんの腕を両手でぎゅっとつかむ。
――ズキッ
瞬間。
私の心臓に、鋭い痛みが走った。
あれ?
何だろう、これ。
自分でもよくわからないけど、御影くんと姫咲さんが一緒にいる所を見てるだけで、ものすごくズキズキする……。