ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約
「あの、桧山さん」


終礼の後、頭の上から声をかけられた。


顔を上げると、御影くんが不安そうな顔で私のことをじっと見下ろしている。


そういえば、教室に戻ってからずっと、私にちらちら視線を寄こしてくれてたっけ。


せっかく話しかけてくれたんだし、今ここで本人に「相沢さんとは何を話したの?」って、直接確かめればいいんだろうけれど。


「ごめん。これから用事があるから」


ヘタレな私は、御影くんから逃げた。


教室を飛び出して、人の人の隙間を縫うように走って、女子寮にある自分の部屋に飛び込んで。


すべてをシャットアウトするみたいに、バタンと強くドアを閉めた。


「はあっ……」


ああもう。本当に何やってんだろう。



ベッドの上で横になって、枕に顔をうずめると、じわ、と目元に冷たいものがしみ込んだような感覚がした。


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