ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約
「目撃情報はいくつも上がってるんだよ。毎日王子にしつこく絡んでるんだってね」

「王子が優しいからって、調子に乗って彼女面してるとかマジでウザい」

「いっぺん鏡でも見てきたら~?」

「そうだよ! おこがましいにもほどがあるって、少しは思い知った方がいいよ」


姫咲さんに触発されたのか。取り巻き達もよってたかって、私に向かってわめき散らした。


彼女達の悪意のある言葉が棘になって、私の心に深く突き刺さっていく。


――あの日、私が備品室に行って、

――床に放置されていた棺桶に、爪先を強くぶつけて、

――そこからはい出た御影くんに、血を吸われなかったら、


きっと、こんなトラブルには巻き込まれなかったのかな。


もう少し、平和に学校生活を送ることができたのかな。


でも、こんなに大勢にひどく責められても、「御影くんと出会わなきゃよかった」なんて、後悔はしていない。


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