ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約
「あんたさえいなければ、あたしは曜と付き合えたのかもしれないのにっ……!」


ソファから離れた姫咲さんが、私の前に仁王立ちするなり、勢いよく右手をふりかぶった。


……あっ。これ、叩かれるやつだ。


反射的にぎゅっと目をつむって、下を向いたその時。


「人間の匂いがする……」


姫咲さんが、ぼそっと呟いた。


「言われてみれば、さっきからなんとなくしてたんだよね」

「しかも、けっこう近くから……」

姫咲さんと取り巻き達が、一斉に私に視線を向けた。


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