つぼみの初恋。
教室に入ると既にグループが出来ていて肩身が狭すぎる。
こういう時下手にとばして友達を作るとろくなことにならない事は経験済みだ。
それを知らなかったせいで1年生の頃に、話せるけど話しかけるまでもないし手を振るかめちゃくちゃ迷う微妙なラインの子を量産してしまった。気まずい。
「あっやっぱつぼみの前か。はよー」
「宏光!おはよー」
嫌なことを思い出していたが、宏光に話しかけられたことで霧散した。それと同時に頬が紅潮する。
それを誤魔化すようにいつもより数倍元気に声を上げた。
「聞いてよ!私絶賛ぼっちで友達募集中でさぁ」
「うわかわいそ。俺は無事ぼっち回避」
「それ今の私に言うことじゃなくない!?」
思わず突っ込むと声に出して笑いだした。そういう無邪気な笑顔は狡い。嫌でも胸が高なってしまう。
(あわよくばこの調子で距離を詰められるんじゃ・・・!?)
そんな期待をしながらフワフワした状態で始業式を終えた。
(距離詰められるって思ってたのに!!!)