つぼみの初恋。
宏光は人当たりがいいからモテるのは分かるが、告白されたなんて話聞いたことなった。

どうしよう。胸騒ぎがする。

「ごめん、彩。私宏光のとこに」
「うん。行ってらっしゃーい」

彩にもその会話が聞こえていたようであっさりと送り出してくれた。

後で何か埋め合わせをしよう。そう思いながら宏光の元へと急いだ。




「宏光!」
「ん?つぼみどーした?」

いきなり小走りでやってきた私に突っ込むことなく、宏光はいつもの対応をしてみせた。とてもさっき告られた人とは思えない。

「えっと、1組の子に告られたってホント?」
「ホントだけどなんで知ってんの?」

勢いのまま来てしまったが、ストーカーみたいだったかもしれない。宏光はキョトンとして首を傾げた。

「ちょっと噂で」
「噂回るの早くね?」
「ね。それで、付き合ったの?」
「いや断った」

断られた子には申し訳ないが、ひどく安堵した。

ここに来て私の長年の片思いが終わるなんて悲しすぎる。

< 5 / 11 >

この作品をシェア

pagetop