つぼみの初恋。
自分には関係ないと立ち去ろうとしたが、聞き馴染みのある名前が聞こえてつい立ち止まってしまった。

「俺、今日宮原に告るんだけど」
「それって宮原花梨のこと?浅野って理想高いよなー」
「いいだろ別に。つか俺去年めっちゃ仲良かったからいけるって!」
「どーだろな」

花梨、1年の頃に仲良かった男子いるんだ。あの容姿なら納得だけど。
私と違って告られ慣れてそうだし。

前にしれっと聞いた時彼氏はいないって言ってたからチャンスはあるんだろうな。

そうなったら、宏光はどうするのだろうか。

(いやまだ私振られてないから。ネガティブはダメ、良いこと何もないから!!)

そう鼓舞して歩を進めた。




屋上に着くと既に宏光は来ていて、フェンスに寄りかかって校庭を眺めていた。

私が来たことに気づくと、よーっと軽く手を挙げた。

「ごめんね、いきなり呼び出して」
「いや、別に」

あからさまに目を逸らされた。昨日はなんてことないようだったが、やはり私が何をしようとしているのか勘づいたのだろう。

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