お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「あら、私がここにいるってわかっていたのでしょう?」

 討伐を終えた夜、オリヴィアがどこにいるのかルークは完璧に見抜いてしまう。どこに行こうが、いつもルークには見つかってしまうのだ。

「まあな」

 ルークがこうしてウェーゼルク伯爵家を訪れるのは、もう五回目になる。

 毎年、春早い時期には、魔獣の動きが帝国領内で盛んになる。そして、少しずつ北の方へ北上してきて、次に動きが盛んになるのがイリアーヌ王国内だ。

 そのため、春先にはウェーゼルク辺境伯家の者達がブロイラード家に協力し、夏が近い時期になるとブロイラード家の者が辺境伯家を訪れる。

 両国の間に戦争が起きればそれもまた難しいのかもしれないが、幸いにもウェーゼルク辺境伯家がこの地を国王より預かって以来、両国の間に戦端が切られたことはない。

(……ルークが無事でよかった)

 普段は帝国の首都で暮らし、そちらで勉学に励んでいるというルークだが、魔獣が繁殖する春から夏の時期には休暇という名目で実家に戻る。そして、魔獣討伐に参加しているそうだ。

「今年もそろそろ終わりだな――」

< 10 / 306 >

この作品をシェア

pagetop