お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 ――彼の予想は、大いに間違っているわけであるが、それをマリカが告げる必要はない。

 オリヴィアが、ルークが、互いにどれだけ相手を大切に想っているか。知っているからこそ、うかつな行動には出なかったのに。

 それを、この男は全部ぶち壊してくれた。

「任せる。徹底的にやっちゃって」

「任せて、姉さん」

 血の繋がりはないが、長い時間を共に過ごしてきた大切な妹だ。これだけで、あとは任せられるとマリカは安堵したのだった。

 

 * * *

 

 エリサは、空き部屋にダミオンを連れ込んだ。

「ねえ、ダミオン。姉さんの言っていること、ちゃんと理解してる?」

「も、もちろんですとも!」

 あ、こいつわかってないな。彼の顔から、エリサはそう判断した。

「本当に? わかってる?」

「な、なにを?」

「気づくのが遅いのね」

 ダミオンを椅子に押し付けたかと思ったら、手際よく椅子に縛り付ける。自分がこんなにもあっさり拘束されると思っていなかったのだろう。ダミオンは、あっさりと拘束されてしまった。

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