お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「あなたの行動は、オリヴィア様のことを思ってのものであると私達もちゃんとわかっているのよ?」

 さんざん脅したので、今度は甘い言葉をかけてやる。ここでフォローしておかないと、今回は、完璧に心を降りたいわけではないのだから。

「あなたならできるって信じてる。オリヴィア様のことをもっと考えてあげて」

 今の今までナイフを当てていた頬に、手のひらをそっと押し当てる。ナイフの冷たい感触に変わって触れるのは温かな人の体温。

 すっとダミオンの身体から力が抜けたような気がした。

(……ここまで来れば、あともう少しね)

 オリヴィアのために、様々なことを学んできた。人をだますことも、脅すことも、殺すことも。すべては、自分を拾ってくれたオリヴィアのため――そして。

「姉さん、終わった!」

「あいつどうしてる? ちゃんと躾できた?」

「ええ、おりこうさんにしているわよ。今後は、余計なことはしないって」

「偉いわ、エリサ」

 姉が、エリサの身体に両腕を巻きつけ、強く抱きしめてくれる。

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