お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 母の顔も知らない。誰かに抱きしめられることなど知らなかったエリサに、家族の温かさを教えてくれたのは、マリカとマリカの両親だ。

 姉のように強くなりたかったけれど、残念ながらエリサの身体能力はそれほど高くなかった。

 だから、別の能力を磨いた。エリサに家族を与えてくれたオリヴィアのために。

 身に着けたのはたくさんの情報の中から、必要なものを救い出す観察眼。そして、人の心をのぞく術だ。オリヴィアと姉のために役立つことのできる今は幸せだ。

「よく言い聞かせたから、今後、ルーク様を連れてくることはないし、彼からの手紙も取り次がないわ」

 ちょっとやりすぎてしまって、エリサを女神のように崇める仕上がりだが、そこは諦めてもらおう。エリサが忠誠を誓うオリヴィアに完全に服従するというのだから、悪い仕上がりではないはずだ。
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